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外国人と日本のモデル・タレント文化の闇

ことのきっかけ

先日、あるイタリア人の友人が、「私の夢は日本でタレントになることです」と言ってきました。彼女は日本好きで、大変仲のいい友人だと思っているのですが、素直に応援する気持ちにはなれませんでした。そこには私なりの理由があります。

まず、率直に言って、イタリア人の友人に日本でモデルやタレントなどの仕事を目指して欲しくないと思っています。

そこで、当記事では、なぜ私がイタリア人が日本でモデルやタレントをすることについて反対なのかについて書いてみたいと思います。

モデル業にいそしむお馬さん↓*1

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イタリア人とモデル・タレント

日本で有名なイタリア人はジローラモ・パンツェッタとユリコタイガーですかね。ユリコタイガーは、モデルやタレントというよりは、コスプレイヤーかもしれません。

ジローラモ

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ユリコタイガー

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案外、日本でこういった活動をしてみたい、という人が多くいます。しかし、すでに述べたように私は反対です。

 

モデル・タレントってどんな仕事なの?

私はこの辺りにさっぱり詳しくないので、「モデル・タレントってどんな仕事なの?」という疑問が出てしまいます

「モデル」は「主に装飾品を身にまとったり美しい背景に埋め込まれたりする人」ですか。よくわかりませんが、きっと何かの「モデル」になる人たちで、それをもってお金を稼ぐ人のことですかね。

タレントってどんな仕事なんですかね。確かに有名人のプロフィールをみていると、よく「タレント」という文字を見る気がします。しかし、実際に「タレント」という職業が存在するのでしょうか。日本でタレントと呼ばれる人は、テレビに出るけど、アナウンサーとかコメンテーターとかニュースキャスターとかそういうのとは違う人、「それ以外の人たち」ですか。

こういったタレントと呼ばれる人を眺めていると、大体なんらかの専門家で、そういった人たちが活躍の場をテレビに選ぶと「タレント」と呼ばれるような気もするのですが、いかがでしょうか。そうすると「タレント」というのは二つ名的なものなのでしょうか。「海賊狩りのゾロ」と同じ感じで「タレントの田中」みたいな感じ?

個人的には「タレント」っていう職業は存在しないのではないかと思っています。まあ、でもここではとりあえず、なんかしらで「有名な人」という一種の代名詞としてとらえておきましょう

それでは、モデルやタレントになるための条件はなんでしょうか。やはり「他の人にはない才能を持っている人」、もしくは才能があるのかよくはわからないけれど、なぜか「人を惹きつけることができる人」でしょう。平々凡々な人はモデルやタレントにはなれない、というのは火を見るよりも明らかです*2

モデル・タレントになる人は、顔良し・スタイル良しという人物が多いイメージがありますが、きっとそうなんでしょう。どこかで他の有象無象とは明らかに違う存在でなければなりませんから。

しかし、ここで一つ疑問が浮かびます。この条件は、イタリア人(外国人)にも当てはまるのか、というものです。テレビをはじめとするメディアには、外国人枠というが一定数あるようですが、これはその名の通り、「外国人だから」という理由で選ばれているのではないでしょうか。イタリア人であれば日本人とはある意味「違う」わけですから、他の有象無象とは異なる存在になれるわけです。

特に興味深いのは、日本で有名なイタリア人、ジローラモはイタリア人にとっては全然かっこいい男ではないということです。日本人はイタリア人の細かなところまで区別がつきません。なんとなく違っていて、なんとなくイタリアのプロトタイプを具現化してくれて、なんとなくかっこよければよし、というわけです。これは、モデルやタレントが「異種」の存在であればいいという日本のモデル・タレント業を映し出す象徴的な事実だと思います*3

最近は、日本アゲのためか、日本と外国の差異を強調するためか、外国人が集まる番組が多くなっているみたいですが、こういう場面に入り込むのがモデルやタレントになりたいイタリア人の生きる道になるかな、と思います。

さて、ここまで延々とモデルとタレントについて個人の意見を述べてきたわけですが、ここから先は、なぜ私がイタリア人の友人に日本でモデルやタレント活動をすることに反対なのかということを書きます。理由は主に二つあります。

 

「違い」を売りにすること悲しさ

日本は、欧米の人たちの顔立ちやスタイルを良しとする風潮(時にこれは悪い方向に進むこともありますが)があります。ありとあらゆる広告のモデルさんは外国人(または外国人風の顔をした人、といったほうが正確かもしれません)で溢れています。こういった波に日本好きのイタリア人が乗りたいという気持ちはわからなくありません。

さて、モデルやタレントになりたいイタリア人がこうした日本の波に乗ったとしましょう。これは、「外国人」として、「異種」の存在として売れていくということになります。これって悲しくありませんか

日本にはまだまだ「あなたと私はこんなに違う」という表面的なところをみて楽しんでいる風潮があるように思えてなりません。日本にも随分外国人の方が増えたと思いますが、それでもまだまだ受け入れ体制が整っているようには見えません。むしろ「違い」を強調しているようにさえ思える時があります。「違い」だけを強調していくことは社会統合には繋がりません。「こことここは違うけど、こことここはこんなに似ているね」となって初めて相手に一歩近づいたと言えるのです。

私の優秀な友人たちには、外見の「違う」ことだけを売りにする世界に行って欲しくありません。彼らには日本の歪んだアイデンティティ表現*4の道具になって欲しくありません。

 

使い捨ての犠牲になる

私がイタリアの友人たちがモデルやタレントを目指すことに対して反対である理由はもう一つあります。

最近は、SNSの発展に伴って、どう考えても今までよりも、自分の外見を売りたい母数が多くなっていますフェイスブックでもインスタグラムでもなんでもいいのですが、「自分発表会」の場が多くなりました。世の中すごいもので、整った顔立ちの人、素晴らしいスタイルをお持ちの方、多いんですねぇ。この中で戦っていくのは相当な度胸と信念と運がいるでしょう。朝起きて、「なりたいから」ではななれない世界なのです。本当に世界は広いのです。

日本はイタリアよりずっと気軽にモデルやタレントになれる(なれそう)な文化があり(その最たる例は「読者モデル」)、元から発表会が多い社会です。これは現代のSNSの発展とあいまって進化を続け、日本は誰にでも有名になるチャンスがある社会になった思います。これは一見いいことのように見えますが、発表会が多いということは、使い捨てられる可能性も高いということ。日本は、こうした発表会を多くすることで次から次へと飽きられない「商品」を提供するというビジネススタイルです*5

そして、こうした発表会を通して有名になり、仮にあなたがモデルやタレントになれたとしましょう。しかし、残念ながら、外見を売りにした方法で有名になったあなたは、あくまでもその裏にいる何かを発信したい人たちのコマでしかありません自分から何かを発信する人ではないのです*6つまり、忠実に言われたことをやるお人形さんです

お人形さんであるがゆえに、人様の都合によって使い捨てられる。発表会が多いがゆえに、次の代用品と取り替えられる。これって悲しくありませんか

私の優秀な友人たちには、日本のお人形さんになって欲しくありません。せっかく日本に興味を持って、日本にきたのですから、お人形さんになるのではなく、別の形でもっと大切なことを発信して欲しいと思います。

 

イタリア人がモデルやタレントを日本でやるのはダメなの? 

私はイタリア人がモデルやタレントをやる、ということ自体については反対ではありません。モデルやタレントの方でも、自分なりの能力を活かして、自ら発信している人もたくさんいることは明らかです。しかし彼らはきっと、並々ならぬ努力をし、自分のやりたいことを磨きあげ、そしてその舞台に立っていると思うのです。私のイタリアの友人がそういった場にたちたいと思うのであれば、順を踏んで、その場に立って欲しいと思います。安易に、「違う」ことを押し出して、それだけを武器にしてそういった活動をして欲しくないと思っています。

 

結論みたいなもの

日本人は外国人(特に欧米)の容姿を過剰なまでに持ち上げます*7。こうして持ち上げられても行きつくゴールなどありません。どこかで急に落とされて終わりです。日本好きのイタリア人(それだけに限りませんが)には、ぜひ、持っている力を存分に活かせる世界にいって欲しいと思っています。

最初の「ことのきっかけ」で書いたタレントになりたいイタリアの友人ですが、とても優秀な人物です。できれば彼女にはもっと別のことをやって欲しいと思うのですが、これは私の意見の押し付けでしょう。ですから彼女にはそのことは伝えずに、「頑張って」とだけ言いましたが*8、なんとなく心がざわつく、そんな出来事でした。

 

 

 

 

*1:イラストはHさんからのもらいもの

*2:そういった平々凡々であることを売りにするという特殊な場合を除く

*3:ユリコタイガーもイタリアでは特に可愛くないと聞きました。

*4:つまりは、違うことを前面に押し出して、「日本ってこうだよね」と意味もなく持ち上げるようなこと。

*5:偉そうなこと言っていますが、よくわからないまま筆が滑っています。すみません笑

*6:こうやっていうと言い過ぎかもしれませんが、わかりやすさ重視であえて強めに言っています。

*7:当然、ここにはイタリア人も入ります

*8:実際やってみなきゃわからないですからね。もしかしたらうまくいくかもしれませんし。