ITAMINKIA

イタミンキア イタリア語を面白おかしく学びたいをモットーに、おうまさんが運営しています。時々日本語教育の話も混ざりますが仕様です。

【ナポリの話】すごーい君はスリが得意なフレンズなんだね!

みなさんは、イタリアのナポリという町を知っているだろうか。

南イタリアで有名な町の一つであり、美しい歴史的港町、美味しいピザ、暖かい人々、そんなイメージがあるかもしれない。

ただ、気をつけてほしい。この町は軽犯罪がハンパないことで有名だ。

そして、か弱い私もその軽犯罪の被害者のひとりだ。そんなかわいそうな自分の経験を語ることで、みなさんに注意喚起をしたい、そんな気持ちでこの記事を書いている。

 

あれは、私がナポリの地下鉄に乗ろうとしたときのことである。私はいつものように颯爽と、そして圧倒的かつ先駆的なオーラを放ちながらエスカレーターに乗り込んでいった。

するとそこに一人の汚らしいおじいさんがやってきてこう言ったのである。

 

「....ット」

 

聞こえない。そこで私は紳士的にこう返したのである

 

「なんですかー?」

 

するとむこうはこうだ。

 

「...エット」

 

そしたらこっちはこうだ。

 

「なんですかー?」

 

「...エット」、「なんですかー」、「...エット」、「なんですかー」

 

しばらくこのやりとりを繰り返すこと10秒ほど、ようやく彼が「ビリエット(切符)」と言っていることに気づいた。どうやら、私にちゃんと切符を買ったかどうか聞いているらしい。

というのもイタリアは改札が壊れていることが日常茶飯事で、チケットなしで乗る人も多いからだ。

しつこいおじさんに嫌気がさした私は、財布を取りだし、そこから切符を取りだして見せることにした。するとおじさんはグイと近づいて、私の手の切符を指差しながら、また聞こえない声でブツブツと何かを言い出したのである。

そして問答すること30秒ほど、どうやら向こうは「しっかり改札を通してこい」と言っているみたいだ。確かに、私は切符を改札に通していなかった。ただそれは、改札が壊れていたからどうしようもなかったということもあったし、そもそもそのときの私のチケットは1日パスだったのでそんなものしようがしまいが関係なかったということもある。しつこいおじさんに嫌気がさした私は、もう一旦戻って改札を通すフリをすることに決めた。

 

「わかった、一回戻って改札通してくるよ」

 

すると向こうは嬉しそうに頷いて「行って来い」というのである。

そこで私は気づいたのである。財布の中にあったはずのお金がないことに。財布は手に持っていたのに。

そう、やられたのである。

 

わざと聞こえない声で話し、

イタリア語が下手なフリをし、

チケットで目をそらさせ、

お金を盗る。

 

 

ときたわけである。

 

 

 

「やられた」

 

 

 

しかし、屈強なオーラをまとい、おそらく身長がゆうに4mは超えている私はそのままでは引き下がらない。手はガクガク震え、失禁をし、声はかすれながらも、凛とした態度でこう言ってやった。

 

「お金を返していただけませんか(お金を返せや、このウスラボケがアァ!!)」

 

すると、向こうは不思議なことにすぐ返してくれた。自分のカバンの中に、お金を持ったまま手を突っ込んで隠していたようだ。

ただでは返してくれないかもしれない。そう思っていた私は少し拍子抜けした。それどころか、向こうは、「おめでとう!よくやった」と私を褒め称え出した。わけがわからないとはまさにこのことである。

 

さて、そんな話を友人のお父さんにしていたら、面白いことを教えてくれた。

どうやらナポリには「スリの学校」なるものがあり、そこの卒業生は、

「矜持をもってスリをやっている」

らしい。つまり、彼らにとってスリとはマジックの一種。タネに気づかれなければ、勝ち、戦利品をいただく。気づかれたなら負け、戦利品は返す、ということになっているらしい。

 

なるほど、さすがナポリ。スリにも矜持があるのか、感心感心。

 

 

 

 

 

ってならないから!!

 

 

 

すごーい、君はスリが得意なフレンズなんだね

ってならないから!! 

 

 

 

まあ、とにかくそんな経験をしたわけで、当方、ナポリが大嫌いになった

 

 

思えば、ナポリの地下鉄の駅の前で携帯を落として、バッテリーもろとも吹き飛んだのもきっとナポリが悪いから。

ナポリのスーパーのレジのおっちゃんの目つきがこわかったのも、暑いひざしで日焼けしすぎたのもきっとナポリのせい。

 

小学校の時に漏らしたのも、中学校のとき数学のテストが9点だったのも、高校の時スポーツ大会で負けたのも、大学で恋に敗れたのも、きっとナポリのせい。全部ナポリのせい。あーあーあー、きこえなーい、何もきこえなーい。

 

 

 

 

 

  

あー、ナポリタン食べたい。